「穏やかか?」
涼の嘲笑を含んだ声に綺樹は顔を上げた。
涼の目が光っていた。
「穏やかか?綺樹」
綺樹はくちびるを横に引くように結んだ。
「ああ」
涼は息を吐いた。
「別れたくも無かった元妻に対して保護者の立場を強いられ、懸命に世話を焼いた代償に他の男の下に走られ、その男との関係が終わったからNYに帰る。
今後は知人関係で。
まったくもっておれは間抜けでしかないな」
綺樹はインゲンを置いた。
「したい話とはそれか?
わかった。
聞くよ。
確かに非難されるべきだ」
涼は綺樹に背をむけてネギを刻みだした。
「違う。
そういう話じゃない」
むっつりと答えた。

