「話があってきた」


綺樹が不審な眼差しになる。

ああいうことがあった後、涼から会いに来るなんて予想していなかった。

今までの涼の性格からありえない。

さやかに知人関係に戻ったと報告もしていたし。

成介はどう画策したのだろう。


「もうちょっと様子を見る積もりだったんだけど、NYに帰るのが予想より早かったから」


綺樹は少し眉を寄せた。


「様子?
 瞬との事か?
 様子を見る?
 どういうことだ?」

「続かないだろ。
 おまえは何時だって、誰とだって」


傷ついた表情が走ってから、口元を歪めるようにして笑った。

目が挑むように光る。


「そうだな。
 瞬とも終わったよ」


涼は表情を止めて、探るように綺樹の瞳を見る。