涼の体が凍りつく。 「遅れて申し訳ない」 低くそっけなく言いながらソファーに座る。 部屋の空気が変わった。 重さが違う。 渦巻き、こちらが床に叩きつけられそうだ。 「代理をします、綺樹・ウルゴイティです。 どうぞよろしく」 さっと西園寺サイドに視線を流す。 涼とは目をあわせもしなかった。 「最終調印と伺っています。 見せて」 担当者に顔を向けた。 契約書を受け取って、凄い勢いで文面を追っている。 そのうつむき加減の顔に涼は釘付けだった。