The side of Paradise ”最後に奪う者”


   *

上海での前の仕事が押しているらしい。

3時間ほど遅れると連絡があった。

そうなると夜の9時になる。

涼は春香に約束のキャンセルの電話をいれた。

全く。

忌々しかったが、権力的立場で言えば全く文句は言えなかった。

ホテルの会議室に涼と重役、双方の担当者がそろい、後はダバリードの上席副社長だけだった。


「とてもお忙しいようですね」


涼の言葉に向こうの担当者は苦笑いをし、侘びを言った。


「あの方は上席副社長の中でも特に多忙を極めておりまして、こちらもうかうかしていられません」

「それはそれで大変ですね」


笑いを交わしたところにドアが開いた。