「私のやったことは、全て間違いだったのだろうか」

「そうですね。
 やめなさいって言ったでしょう」


子どもに諭す父親の口調だった。

めり込み始めた綺樹の様子に、成介は明るい声を出した。


「その話も含めて、話があるんですよ」


そう言って、こじんまりしたバーに案内された。


「飲んだら、運転できないんじゃないか?」

「法を犯す人がいるから、法があるんです」

「なるほど」


そう言いながらもノンアルコールビールを頼んでいる。


「さて、と。
 仲直りをしてから帰ってもらえますか?
 そういう喧嘩だと、あの社長はもの凄く性格が悪くなるので」

「仲直り」


綺樹は繰り返した。