「うん。
 そうだね。
 いつも血を吐くようだった」


綺樹は頬杖を解いて瞬の目を見つめた。


「私はあなたが思っているよりも、ずっとみっともないんだけどな」

「僕も、今、自分のみっともなさが情けないよ」


瞬のふてたような横顔に綺樹はキスをした。


「でも瞬、今を一緒に過ごしているのはあなたなんだ。
 涼に男はNYに帰ってからにしろと怒鳴られても、こうしてついて来ている。
 もしかしたら1時間後には死んでいるかもしれない。
 最期の時間かもしれない。
 それをあなたと過ごすのを選んだんだ」


瞬は綺樹の目を怒ったように見つめる。


「やっぱり、あなたは僕が思っているとおり、かなり悪い女だ」


怒っているのではなくて、照れ隠しなのがわかって綺樹は笑って首に抱きついた。


「生き方が不器用でみっともない女だよ」


瞬はうなじに顔をうずめ、ボディークリームの香りを深く吸い込んだ。

いいや。

とても、ひどい女だよ。