The side of Paradise ”最後に奪う者”


   *

その夜にタクシーで家に戻るとマンションの外で瞬が待っていた。


「おかえり」


にっこりと笑う。

綺樹は睨んだ。


「見かけどおり、口の軽い男だね」


その皮肉口調に瞬は笑った。


「こそこそするのは嫌だから。
 宣戦布告しておかないとね」


同意を求めるように笑いかける。

綺樹は呆れてから諦めた。


「早く身の回りのもの、とってきたら?」


まったく意味がわからない。


「ずっとこの寒い中、待ってたんだからね。
 冷え切っちゃったよ。
 家に帰ったら一緒にお風呂に入ろう」


展開についていけないようで、目を丸くしている。