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その夜にタクシーで家に戻るとマンションの外で瞬が待っていた。
「おかえり」
にっこりと笑う。
綺樹は睨んだ。
「見かけどおり、口の軽い男だね」
その皮肉口調に瞬は笑った。
「こそこそするのは嫌だから。
宣戦布告しておかないとね」
同意を求めるように笑いかける。
綺樹は呆れてから諦めた。
「早く身の回りのもの、とってきたら?」
まったく意味がわからない。
「ずっとこの寒い中、待ってたんだからね。
冷え切っちゃったよ。
家に帰ったら一緒にお風呂に入ろう」
展開についていけないようで、目を丸くしている。

