次の瞬間、涼は椅子を持ち上げると、机に叩きつけた。
こんなに激怒するのを初めて見た。
私の男遊びには慣れているだろうし、保護者に固持しているのに、そこまで怒るのは不思議だ。
綺樹は椅子に座ったままで、静かに涼を眺めていた。
「NYに帰ってからにしろ。
日本で、俺の保護の元にいる時は許さない。
NYに戻った後なら、男と寝て死のうが勝手に好きにしろ」
ドアが叩き閉められて、勢いあまって跳ね返るように開いた。
綺樹は立ち上がると、床に転がっている椅子に歩み寄った。
起して元のテーブルの位置に収める。
そのまま椅子の背を握り締めた。
「NYに戻った後ならか」
呟く。

