The side of Paradise ”最後に奪う者”


研究室のドアが乱暴に開けられた音に、綺樹は体をひねって振り返った。


「ああ、涼。
 どうしたの?
 早いね」


涼は無言で腕をつかむと、近場にあった会議室に投げ入れた。

ものすごく怒っている。

綺樹は無言で椅子に座った。


「瞬から電話があった」


やっぱりそれか。

ため息をついて椅子の背によりかかった。


「口の軽い男だな」


涼は机を叩いた。


「心臓が止まったらどうするつもりなんだ」

「頭の血管、切れるぞ」


綺樹はしれっと言った。