「綺樹」 初めて呼び捨てにすると、顔を向ける。 あまり気にしていないようだ。 「来て」 瞬が微笑したまま、片腕を伸ばした。 綺樹は大人しく近づいた。 体を掬い上げられるようにして膝の上に載せられる。 「じゃあ、一緒に過ごせるね」 「どうかな?」 瞬はくすくすと笑った。 「ここから出さない」 綺樹は少し首をかしげた。 「短期集中決着型なんだな」 「どうかな」 瞬が同じように返す。