The side of Paradise ”最後に奪う者”


だけど未だに自分の歯止めに自信がなかった。

押し倒しはしないが、もっと時間をかけなくてはと、なし崩し的になって、やがて西園寺の屋敷に戻すだろう。

その次は?

帰りの様子を見て考えよう。

そう結論づけ、帰りの車の中で綺樹の様子を、運転しながら探る。

いつもより言葉がけを多くしてみたが、相変わらず淡々としている。

業務報告のようだ。

今朝感じた違和感も、無かった。

大丈夫だ。

そう納得させた。

自分の一部が落胆しているのは無視だ。

マンションの前に着く。


「ちゃんと戸締りしろよ」

「ん。
 ありがとう、じゃあな」


助手席のドアを閉めて歩き出す。