The side of Paradise ”最後に奪う者”


綺樹はしばらくグラスに口をつけて、洋酒の瓶の並びを見ていた。

帰っても誰もいない部屋。

一人でベットの中で丸くなり、泣きそうになるのを堪えて今夜も過ごすのは嫌だった。

毎晩毎晩、苦行のように。

綺樹のまぶたを半分伏せて、もの思いにふけるような横顔を瞬は見つめていた。

思わず指が伸びて頬をなぜる。

しっかりと腕に抱きしめてみたかった。

綺樹はグラスを置いた。


「行こうか」


スツールを降り、瞬を見上げてにっこりと笑った。


「なかなか面白そうだ」


瞬の膝に手を置き少し身を瞬へ傾けた。


「楽しませてくれるんだろう?」


嫣然とした笑いになる。

瞬は食い入るように見つめてから、にっこりと笑い返した。


「もちろん」


期待通りの答えに、綺樹は涼やかな笑い声をたてた。