「どうして?」
「迎えに行きます。
あなたを連れて行きたいバーがあるんです」
「ああ」
綺樹はためらった声を出した。
「涼から聞いていないんだな。
心臓が壊れかけてて、煙草も酒も男も駄目なんだ」
綺樹は自分で言って傷つき目を閉じた。
何の武器もない。
瞬の驚いた気配が伝わってきた。
「それは。
人生の楽しみが半減していますね」
「そうだね」
綺樹は瞬ががっかりした様子を見せなかったのが嬉しかった。
「飲めなくても、場所としていいですよ。
行きましょう」
「そう?」
「ええ。
あなたに会いたいんです」
綺樹は言葉を失った。

