The side of Paradise ”最後に奪う者”


一人暮らしになってから、食事は一緒にしないようにしていた。

自分の中では、仕事以外で女性と食事をした場合、女として扱っている。

今、綺樹をそういう目では見てはいけない。

保護者だ。


「そうか。
 わかった。
 送ってくれてありがとう、お休み」


綺樹はいつも通りのあいさつをして出て行った。

この距離間がまだぎりぎりだった。

当然縮められないが、広げることもできなかった。

ふうっと息を吐いてドアに肘をついて額を覆う。

振り払うように涼はギアを入れると車を出した。