The side of Paradise ”最後に奪う者”


マンションの入り口に車を止めると、綺樹はシートベルトをはずして涼を見上げた。


「送るの、これで最後でもいいんじゃないか?」


一瞬意味がとれなくて綺樹の顔を見つめた。


「駄目だ」


言葉の方が先に出た。

涼はフロントガラスの方に顔を向けた。


「電話だけだと、おまえの状態が掴めない。
 医者とか他人の報告は当てにならない。
 これを止めたら管理できない」


なんだか棒読みの台詞のようになる。