The side of Paradise ”最後に奪う者”


「契約、早めに切らせようかな」

「おいおい。
 勝手におまえが判断するなよ。
 十分、あの人には判断能力が戻ってるぞ」


涼はくちびるを結んだ。


「そうですか」


高木はちらりと涼へ視線を流した。


「いつまでも保護者面したい気持ちは分かるけどね~」


涼はむっつりとした顔をする。


「なんですか、それ」

「仕事以外でも人気だよ、彼女。
 綺麗なお姉さん。
 しかも病もち。
 薄幸の美女って感じか」


楽しそうに笑っている。

十分予測していた状況が裏づけされて、涼は不機嫌な顔になった。