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もしかしたら感が働いたのだろうか。

綺樹はふと反対の歩道を見た。

足が勝手に止まって、後ろを歩いていた人にぶつかられる。

涼が女連れだった。

指を絡めて手をつなぎ、反対の手には彼女のバッグと紙袋を持っていた。

綺樹は自分が目を見開いて見つめてしまっているのがわかっていたが、止められなかった。

にこやかな笑顔を彼女に向けて何かしゃべっている。

彼女が立ち止り、お店のウィンドーを指している。

涼が彼女の腰に腕をまわして店の中に入って行った。

綺樹も歩きだした。

ゆっくりと頭の中も動き出す。