今や、昔のように涼に対してしてあげられることは何もない。

ベッドの中でのことを教えることや、楽しませることはもちろんだが、仕事についてだって。

人生についてだって。

涼は全ての手助けが不要だったように、自分の手で切り開き、歩いていっている。

私がやったことが、全て無駄だったと証明するかのように。

幸せになって欲しいと思ってやった数々。

涼に私は不要だ。

不要なものは捨てる。

身の回りは整理整頓しなくては。

運が回らなくなる。

それはよくない。

だから、早く去らなければならない。

綺樹は他人事のように思った。