私にも側にいてくれる人が現れるか? 想像できなかった。 年取った自分が肘掛け椅子に一人で座っている姿しか見えなかった。 背筋が寒かった。 嫌だ。 もう嫌だ。 本当に、本当に嫌なんだ。 体内で叫ぶ気力もとっくに削がれていた。 綺樹は呪文のように繰り返す。 自分の人生を取り返す。 そう思っていたのに。 やっぱり無理だ。 私には無理なんだ。 綺樹の手から本が落ちた。