The side of Paradise ”最後に奪う者”


この先、いつまでなんだろうか。

砂がさらさらと、こぼれる音のようなのを聞いた。

本を持っていた手がだらりと落ちる。

後、10年?20年?

ひたすら仕事だけに一人で生きていく。

あのダバリードの部屋で。

心臓を止めることも許されない。

さやかの電話を思い出した。

細胞の研究を進めているから。

もう少ししたら臨床に入れる。

早く細胞移植手術できるようにするわ。

それって?

それって、嬉しいか?

感謝祭やクリスマスなどで年々、大きくなっていくさやかの子供たちを見て。

さやかだけじゃないんだ、涼だってそうだ。

こいつにだって家族が出来るんだ。

成介には花蓮がいて、兄には藤乃がいる。