心臓のことがあるとはいえ、涼は完全に線を引いていた。
元々、知人関係にまで戻すと言っていたのに、さやかに無理に預けられてしまった。
だからきっちりと保護者だった。
アメリカに戻るんだからしっかりしろ、が口癖だった。
そして着実にリハビリを進めてくれている。
西園寺の家も出されて、一人暮らしになり、こうやって半分学生で半分仕事の職もあてがわれている。
綺樹の手は止まっていた。
このまま行けばちゃんとボストンに戻って、以前のように一人暮らしはできるし、勉強を進められるだろう。
卒業してダバリードに復職する。
逃れられないんだな。
何をしたって、どんなことになったって。
さやかから逃れられない。
該当箇所に付箋をつけて閉じた。

