「ああ、そうか」 綺樹もあっさりと納得し、それ以上言わなかった。 涼はリストを見ながら隣の書架に入っていった。 ぶつぶつと書名を呟いて背表紙を追っている。 その背中を並べられた書籍越しに見つめた。 葉山以来のキスだった。 本当に久しぶりだった。 壁に押し付けられたときの涼の体の質感。 綺樹は手にしていた書籍に目を落とす。 惜しかったな。 噛み付かないで、もうちょっと続けてればよかった。 口元で苦笑して、ページをめくる。