先に視線を外したのは暁子だった。
「あなたが本当に夢中なのが誰かわかって、若かったから強がって身を引いたけど、年をとってくると、段々後悔してくるのよ。
強がらなければ良かったって。
結婚して一緒に年月を重ねれば、私が一番になったかもしれないって、思うようになるの」
しばらく暁子を見つめていたが、涼は皿に視線を落とした。
「一緒に」
ナイフで一切れ切ると口に入れた。
「時間を過ごしても、駄目な時は駄目だ」
炭酸水の入っているグラスを口にした。
ナイフとフォークを置いて、テーブルに両肘をつくと指を組み合わせた。
穏やかに笑う。
少し長めの前髪が、サイドから落ちていた。
二重がくっきりとした、綺麗な目。
暗めのダイニングの明かりが、陰影を作り、色気を感じさせた。
暁子は無理矢理視線を外した。

