The side of Paradise ”最後に奪う者”


「NY以来ね。
 2年ぶりぐらいかしら?」


食事の席で軽く乾杯をしてから、暁子は涼の目を微笑をたたえて見つめる。


「そうだね。
 あなたはどうして日本に帰ってきたの?」

「介護」


ちらりと涼を見上げてから前菜にナイフを入れる。


「介護よ。
 好きなように人生を生きられる時代は終わったらしいわ」

「ああ、そうか」


その痛みはわかる。


「志望動機は読んだけど、本音でうちに来ることにしたのはどうして?」

「あなたとやり直したかったから」


フォークの手を止めて、まじまじと暁子の顔をみつめると、笑われた。


「福利厚生がしっかりしているからよ。
 介護休暇や時短がちゃんと機能しているでしょ」

「そうだね。
 ちゃんと守れていないようだったら、言って。
 しばいとく」


また軽やかに笑った。