* 電話を切った後、しばらくじっとしていた。 気がかりだったことの一つ。 見つからなかった婚姻届はそういうことだったのか。 思い出したように煙草に火をつける。 ふとデスクカレンダーが目に入った。 しばらく月の数字を見つめていた。 自分の不注意で流していなかったら。 今頃、家族ができて、3人で暮らしていたかもしれない。 でも現実はここに一人だ。 そしてこれは自分の選択だ。 私の愛した涼はあの日に死んだ。 死んだんだ。 あれは別人だ。 そっくりの。