車の助手席のドアを開けてくれたのに、乗り込む。
綺樹が一人暮らしになってから、大学での仕事の時は必ず涼が送り迎えをしていた。
保護者だから健康状態をチェックするには丁度いというのが言い分だった。
よく仕事のスケジュールがつくものだ。
成介は泣いているだろう。
「まだ成金趣味の車なのか?
やめろって言ったのに」
「いいだろー、これぐらい」
大学生がすねるような口調に、冷たい視線を送る。
「ま、その辺りにいる女の受けは良さそうだもんな」
「そうなんだよな」
「私は出来るなら乗りたくない」
「はいはい」
あっさり流されて、綺樹は口をつぐんだ。

