The side of Paradise ”最後に奪う者”


「うん」

「今週末に移動できるように整えさせるから」


今週末。

そんなにすぐ。

もう綺樹の頭の中は思考が巡らなかった。


「それと、新しい仕事も見つけておいた。
 大学の研究室での雑用だ。
 アメリカに戻って再び大学に通う準備に、ちょうどいいだろ」


綺樹はただパンをちぎっては食べている。

放心状態のような横顔。


「聞いているか?」

「うん」


絶対に聞いていない。

一遍に急ぎすぎたか。

一抹の不安が掠める。

いや、だけど、だ。

もうこっちが限界なのだ。

涼も口をつぐむと、不安を打ち消すように、ひたすら箸を動かした。