The side of Paradise ”最後に奪う者”


クッションの一つを枕に、もう一つを抱え込んでいる。

パステル調のもこもこした部屋着で、既に風呂に入ったらしく、かすかにボディークリームの香りがした。

暑苦しい年寄りばかりを相手にしてきた後だけに、綺樹の寝姿にいつもよりも揺さぶられる。

涼は少し身を屈めて様子を伺ったが、起きる気配はなく、規則正しい寝息だった。

何か考える前に手が動いていた。

目にかかっている髪を指でなぞりあげ、そのままこめかみへと滑らせていく。

視線のほうが先にうなじをなぜていた。

口の中が乾く。

まずい。

涼は綺樹の肩を強く叩いた。


「こんなところで寝るな。
 風邪をひくぞ」


綺樹のまぶたが上がった。


「ああ、ああ。
 おかえり」


上体を起して伸びをした。