そのまましばらく黙っていた。 「そうじゃない」 口調が柔らかく、ぐっと女性的に変わった。 「そうじゃないよ、成介」 長く息を吐いた音がした。 「わかるだろう?」 成介はふざけた口調で言った。 「いえいえわかりません。 彼もわからないと思います。 はっきり言ってあげないと。 かなり鈍い分類ですから。 また何か起きたら連絡します」 「ああ、お願いするよ」 「ところで、今はお仕事中ですか?」 成介の愉快そうな声に綺樹が戸惑った雰囲気がする。 「そうだけど?」