「大学の時だろう?
何かあったらしい。
そのことは、相当な傷になっているみたいだ」
「大学?
なんでしょうか」
「わからない。
本人自身、記憶に催眠術をかけたとか、たわけたことを言っていたし、怯えた状態を見せたこともあった。
さやかさんもその件を匂わせると口が重くなる。
無理に暴いてはいけない気配だ。
ただ、男遊びに奔放な性格の要因になったらしいとわかれば、推測する方向はつく」
成介とまた静かに視線をまじらわせた。
「彼女の安定には時間がかかりそうですね。
素人で上手く行くのか危ういですが、精神状態を上げてNYに戻さなくてはなりません」
「ああ」
「もっとも、こーんな状態の後、あなたが知人関係に戻せるのか見物ですが」
涼の顔に苦味が走った。

