「結構、周りの空気、読めてないじゃないですか」
「ボケてんなーと思う時は多いが」
「言葉や表情で他人の感情を読むのが少々苦手なんですよ。
変な才能で、人の目から考えていることを、読み取れるようですね。
ま、例外な人物もいるみたいですが。
でも、それは余計に他人は疎ましくなってしまいます」
涼と視線をまじらわせた。
しばらく涼は口をつぐんでいたが、再び書類に目を通す。
「なんでも過ぎるのは良くないもんだな」
「そうですね。
他人からして見れば、地位も金も、容姿も頭脳も恵まれて、羨望の的なんですけどね。
あ、うちの秘書女子たちがそう言ってましたよ。
やっぱりそういう人じゃないと社長の奥さんになれないのねって。
でも、どうですかね。
蓋を開けてみたら、こんなですから。
何事も過ぎるって言うのは、良くないんですよ。
頭が良すぎるのも、お金がありすぎるのも、そして」
愛しすぎるのも。
成介が止めた言葉はよくわかった。

