成介はじっと見つめていたが、ため息をついて携帯を取り出した。
「もしもし?
綺樹さんがNYに戻りたいそうです。
飛行機のチケットを取っていいですか?」
成介は耳から離した携帯をちらりと見てからしまった。
「ばかやろうと怒鳴られました。
NYに戻るのは駄目そうですよ。
腹をくくって、ここに居ることにするしかないみたいですね」
成介は身を乗り出して、綺樹の耳元に囁いた。
「演技で構いませんから、まともに戻らないと。
まだ、続いているんですよ。
あの計画は。
友人関係か知人関係に戻すという。
曲りなりにダバリードの副社長です。
きっちり仕事、してくださいね」
にっこりと笑いかけてから、立ち上がって部屋を出た。
ドアにはまっているスリットガラスから綺樹の様子をしばらく眺めた。
今の発言が吉と出るのか、凶と出るのか。

