沈着冷静だもんな。 いつか綺樹が言った言葉がよみがえる。 そうです。 冷酷非情なんです。 すうっと息を吸って、また立ち上がりそうな自分の“とある感情”はオフにする。 ずっと繰り返している作業。 でも意地悪く、涼の妻として西園寺の屋敷にいた時に交わした会話が、滑り出た。 “閉ざされた精神世界に生きている者” あの時の彼女の横顔。 閉ざされているが故の自己中毒。 扉が開かないように、押さえていた一人は自分だ。 成介は拳でエレベータのボタンを叩いた。