「おまえには経験も知識も豊富にある。
それはおまえの強みだし、財産だ。
今、うちはあの金融危機の後、笑っちゃうぐらい株価が下がっている。
社員のモチベーションも低い。
後で資料を持ってくるから、それを見てなんでもいいから提案しろ」
うわあ、凄い大雑把。
成介は思わず笑ってしまい、涼に睨まれた。
まあそれがこの人のいいところだ。
涼はあわただしく会議に戻っていった。
「と、いうことだそうですので、資料を集めてきますね」
無反応の綺樹を残して成介も部屋を出た。
ちらりと部屋の中にいる綺樹をガラスの壁越しに振り返った。
思わずぎくりとした。
綺樹がこちらを向いていた。
何の表情も無い。
そして一瞬、目が無いように見えた。
ただ黒い穴が二つ開いていた。
ムンクの叫びのように。
そこに座っているのは死体だ。

