The side of Paradise ”最後に奪う者”


「全く社長は素直じゃないですね。
 なんでか、あなたに対してかっこつけるところありますね。
 やせ我慢というか。
 まあ、好きな女の前ではみんなそんなもんですか」


くつくつと笑いながら車のロックを外した。


「知人関係になっても、さやかさんから、あなたが大変だからとヘルプが入れば、こういう感じですからね。
 ほっといても何も言われない関係なのに。
 どうですか。
 今はダバリードもウルゴイティもないんです。
 ただの市川綺樹です。
 社長と結婚しちゃいませんか?
 って、あなたに今こういう話をしても届いていなさそうですね」


成介はため息をついて助手席のドアを開けた。


「考えておいてくださいね」


成介の携帯が鳴ったのに助手席のドアを閉め、運転席に乗り込みながらとった。