「大丈夫ですか?」 綺樹は俯いたまま涙を落としていた。 瞬きもせずに見開いた目の淵から、ぽたぽたと落ちていく。 「どうしますか?」 返答までにたっぷり10秒はかかった。 「かえ・・る」 「わかりました。 送ります。 西園寺の屋敷でいいんですよね」 そこでまた明白に固まった。 「しばらくは西園寺の屋敷にいたほうがいいですよ。 あなたは自分の面倒をみれていません。 社長のやり方は早急で強引ですが、理に適っている部分もあります」 成介は自分の車に促した。