The side of Paradise ”最後に奪う者”


   *

明朝、自分と同じ時間にたたき起こした。

身支度をさせようとするが、時間がかかってしょうがない。

涼は出社時間が気になり、時計と睨み合いながら、コンサバトリーにテーブルを出して用意させた朝食の席に着
いた。

綺樹は西園寺の屋敷ではコンサバトリーがお気に入りだった。

朝食の席についたまま、ぼおっと窓の外を眺めている。

目の前の空を見つめていないだけ、ましだ。

だが、引きずっていかなくては何も進んでいかない。


「食えよ、
 この後、仕事なんだから」


一瞬、綺樹の指が震えた。


「おまえは無職なんだからな。
 しかもその心臓は金がかかる。
 いくら蓄えがあったって、稼ぎがあったほうがいい」