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明朝、自分と同じ時間にたたき起こした。
身支度をさせようとするが、時間がかかってしょうがない。
涼は出社時間が気になり、時計と睨み合いながら、コンサバトリーにテーブルを出して用意させた朝食の席に着
いた。
綺樹は西園寺の屋敷ではコンサバトリーがお気に入りだった。
朝食の席についたまま、ぼおっと窓の外を眺めている。
目の前の空を見つめていないだけ、ましだ。
だが、引きずっていかなくては何も進んでいかない。
「食えよ、
この後、仕事なんだから」
一瞬、綺樹の指が震えた。
「おまえは無職なんだからな。
しかもその心臓は金がかかる。
いくら蓄えがあったって、稼ぎがあったほうがいい」

