成介は引き続き少し首をひねる。 よく、さやかが涼の元に送るのを決断したものだ。 取られると思わないのか。 自信があるのか、諦めたのか。 さすがの女王も自分の夫を付けることは、決断できなかったようだが。 手放すのを天秤にかけて、綺樹が負けたということか。 未だ怖いほどの沈黙を保ったままの涼を見下ろす。 「ところで。 この件はお願いされたんでしょうか、命令されたんでしょうか」 「命令だろ」 椅子から立ち上がった。