「ご無沙汰しています」 「成介か? ああ、久しぶり。 手術のとき以来だな。 一年?」 ちょっと言葉が途切れた。 「そろそろ一年たつんだな。 時間は早いのか遅いのかよくわからないな。 さて、おまえが電話してくるということは涼の事だろ。 なに?」 紙をめくる音がする。 自分の名前がさらりと出てきたのに、びくりとした。 「思い出したの?」 「いえ、ばれました」 一瞬、物音が途絶えてから、ばさりと書類を置く音がした。