あてもなく歩き始めて、気付いたら公園が目の前に広がっていた。
綺樹は顔に微笑が広がるのがわかった。
最後ぐらいいいことがある。
涼と2回目の結婚を始める前に来た公園。
ここだったかな。
二人で座り込んだ芝生に腰を下ろした。
あの時は燦燦とした日差しだったが、今は物憂げな秋の日差しだった。
一巡したな。
そう思った。
ダバリードに拾われる前に。
あの事件があって、大学を卒業するというのに就職は決まらなかった。
事件だけでなく、年齢も、性格もあったのだろう。
ギリシャの父のところに戻るか、まだ大学に通っている兄と暮らすか。
どちらもできそうで、出来なかった。