黒光りする拳銃と不要な二つの指輪。
それをしばらく見つめてから、窓の外を見た。
どっか外に行かないとな。
結構、血が飛び散るし。
ここだと骨董への損害が大きすぎる。
綺樹はキッチンで仕事をしている家政婦に帰ることを告げて、エレベーターに乗った。
このままロビーに降りれば、グレースが待っている。
だから地下に降りた。
地下は居住者たちの物置部屋が並んでいる。
だがそのひとつのドアは従業員用の出入り口だ。
綺樹はそこから地上への階段を上がり、建物の裏手に出た。
ここでもいいんだけど。
ゴミ箱が並び、薄汚い細道。
すぐに自分の肉体がゴミと変わらなくなると思っても、最後ぐらいは気分のいい場所がいい。

