The side of Paradise ”最後に奪う者”


「綺樹。
 いつかあなたを呼び戻す。
 待っていて」


さやかの強い光の宿った瞳をみつめる。

さやからしいな。

綺樹は返事をせず、微笑だけして部屋を出た。

待ち構えたように携帯が鳴って、出るとフェリックスだった。

全く、さやかと夫婦らしいタイミングだ。

フェリックスは最初から雷を落とした。

怒りが収まらないまま離籍手続きに入ると告げた。

そうか。

綺樹は静かに思った。

ウルゴイティがそう出るのも当然だ。

了解、と短く答えて綺樹は電話を切った。