「受理、するわ」 「うん」 どこかで期待していたかもしれない。 悲しい気持ちが湧き上がったのに綺樹はぼんやりと思った。 さやかがつき返して、なんとかするわ、といつもどおり挑むような声で言うのを。 「タイミングが悪すぎる。 原油事件さえなければ」 「うん」 沈黙が漂う。 「マスコミから隠れられるところに連れて行くわ」 「うん。ありがとう」 綺樹は部屋から出ようとした。