The side of Paradise ”最後に奪う者”


「さやかさんは二人目を流産しかかって入院中だそうです。
 自分が遊学なんてしているからと責めていました。
 それで誰も立とうとしない議場に立つ気になったそうですよ」

「そうか。
 大丈夫そうだったか?」


成介が沈黙になった。

涼が見上げる。


「あの年で、女性で、ああいう場に連日立たされて、大丈夫な人は余りいないと思いますが」


涼は黙り込んだ。


「電話しないんですか?」

「俺は必要ないだろ」


即答し、書類に印を押して成介に返した。