「おまえは何に加担したんだ」
成介と涼は長い間沈黙の中、目を合わせていた。
「何もしないことに、ですかね
それが条件だったんです。
こちらが一銭も払わずに世界一の名医に手術をさせ、西園寺に無事戻してもらう」
「誰が払ったんだ」
「彼女以外、誰がいますか?
あなたの命に億の金を出す人が。
当時は妻でしたし、地位的に金には困っていません。
いや、困っていても出したでしょうね。
それほどあなたが大切だったようですよ」
ダバリードの上席副社長であることは伏せた。
涼は懸命に成介の言っている意味を理解しようとしているようだ。
「で、思い出しましたか」

