もう日本に来るまい。 わかっていての発言だった。 「じゃあな」 切れる直前に涼が待ったをかけた。 言わないほうがいいとわかっていても、言わずにいられなかった。 車で交わした最後の会話で言えなかった事。 「おれも後悔していない。 おまえに出会ったこと。 この先も」 綺樹が息を詰めるような気配を見せたのに、涼は電話を切った。 気づいただろうか。 言葉遣いで。