*

意識が戻ってあのまま、あそこで涼の世話になっていたら、ただの知人関係になろうとするのは無理だ。

それがわかっていての発言だった。

“隠して”

妊娠もばれないようにしないと。

もう涼と結婚は無理だ。

事実婚にしたとしても。

東京とNYでの別居婚などお互いの性格から、喧嘩が絶えなくなるだろう。

だから遠ざかる必要があった。

でも下手すると涼は拒絶されたととり、また性悪となる。

綺樹は言葉を発するのが少し楽になると、携帯を手に取った。


「成介?」


向こうが息を詰めたのがわかる。