* 戻るなら、の限界が来ていた。 涼の健康状態も限界だ。 綺樹は戻らないことに決めた。 その夜、ソファーで夢と現の間を彷徨っている涼の寝顔を見つめた。 ごめんな。 触れられない手で頬を包む。 黒いくまが出来ている。 覚えていて欲しいと思ったこともあったけど、やっぱり。 早く忘れて。 全てを。 くちびるをあわせるようにしてから、最後に自分の容器に近づいた。 ご苦労さん。 中々良かったよ。 上に行こうとして、ぴりっと電気のようなものが走った。