The side of Paradise ”最後に奪う者”


「今は、付き添わせてください。
 可能なので。
 やがて、したくても出来なくなる日が、多くなると思いますから」


尚也は困ったような表情のままだった。


「僕は医者で息子も医者だ。
 ウルゴイティの当主代理のフェリックス君も元医者だ。
 だから綺樹としてではなくて患者として冷静に見たときに、最善の選択はわかっているんだ。
 そして親としては、娘がこのままの状態で生き長らえるのは幸せだろうか、と考えているんだよ」


涼は尚也が何を言おうとしているのかわかってくると、目を見開き始めた。


「安楽死ですか?」


尚也は眼差しを綺樹に向けた。