しかもなぜ涼が毎晩泊り込むのか。
昼間は尚也か尚希が付き添っていた。
フェリックスさえも一日付き添ってから帰って行った。
毎晩、涼は仕事を終えてからやってきた。
椅子に座っているか、ソファーに横になって、うつらうつらしているだけで、朝になると西園寺の屋敷に身
支度をしに帰り、出勤しているようだ。
「遅くなりました」
尚也に挨拶している。
「いいえ。
大丈夫?
そう毎晩付き添わなくてもいいんだよ」
涼は微笑して頭を振った。
「大丈夫です」
「君のせいでこうなったわけではないのだけど?」
困ったように少し小首を傾げる。
綺樹の癖はここからきているんだなと、涼はぼんやりと思って口元で微笑した。

